現在医療の多様化が進んでいる。また、病気から自分の身体を自分で守るという「セルフ・メディケーション」の考え方も浸透しつつあります。そんな動きを受けて「健康食品」がクローズアップされています。サプリメントはその中でもより一般的に受け入れられているものです。また単なる「食品」であってもそのエキスを抽出して、調べてみると人体に対して何らかの良い影響を与えるものがあります。そのエキスの効果が、最近はマスコミを通じて一般の方にあっという間に知れ渡り、私どものような薬を販売しているクスリ屋でその動きを受けて、売られるということも少なくありません。
しかし、ここでは更に一歩踏み込んで欧米などで既にいわゆる「医療」に組み込まれてきつつある 「代替医療」についてお知らせしようと思います。



昔から世界各地で伝承され、現代にも引き継がれている民間療法というものがあります。それら西洋医学以外の医療を、概ね代替医療と言って良いでしょう。中国の漢方薬、インドのアーユルヴェーダなどがその代表格です。日本でも様々な民間療法が各地に残っています。
残念ながら、民間療法の中には眉唾物もありますし、科学的な裏付けが無く、また、病気やけがの大小にかかわらず「あらゆる病気の予防になる,治療になる」といった誤った使用法により重大な障害を受けることもあります。
一方、漢方薬などは中国,韓国,日本などで比較的様々な角度から研究され科学的な根拠、使用方法も確立し、実際の医療の現場で使用され良い結果を残してきています。その漢方薬でも、未知の部分があり、その可能性はまだまだ広がっていくことが予想されます。特に「免疫」の分野では、様々な感染症はもとより、癌治療、癌予防などで今以上に研究が進んでいくものと考えられます。(もちろん、日本では漢方薬は代替医療ではなく既に完全に医療の一部です。しかし、欧米では未だ,漢方薬は代替医療と捉えられている部分があります。)代替医療とは、欧米での漢方薬のように民間療法の中で実際に良い結果が出ているものをピックアップし、実際の医療現場で使用し医療の補完をするものです。また、治療効果はともかく、癌患者のQOLの向上(クオリティー・オブ・ライフ:生活の質の向上。病気または治療による不自由、痛みや不快感を取り除くこと)に寄与することも注目を浴びる一因となっています。

もちろん、代替医療はオールマイティーではなく、どれだけ治療効果があるか不確定ですし、副作用がゼロと言い切れませんし、科学的な裏付けもありません。単に妄信的にのめり込んでしまうことは危険だと思います。
「藁にもすがる思い」でいわゆる「口コミ」を信じきってしまわずに、専門家に会うことと、数多い治験例を踏んで、有効な使用方法が確立した健康食品を見極められるかどうかにかかっていると思います。